「翻訳チェッカーから始めて良かった!」と強く思う4つの理由

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フリーランス特許翻訳者のアツトです。

翻訳者になりたい!でも、求人はどこも経験者募集ばかりだし、未経験者の求人は翻訳チェッカーばかり。でも、チェッカーを目指しているわけではないしなぁ・・・

翻訳者志望の方の中には、こんな悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「翻訳者になる」という目標を考えると、「チェッカーになる」というのは人生の回り道をしているように思えますよね。

私は、新卒で入社したIT企業から中途で特許翻訳会社に転職し、日英のチェッカー兼翻訳者として働いていたことがありました。

最初は先輩の指導の下、ひたすらチェックばかりで、初めて翻訳をしたのは入社後約半年が経過してからです。

そして、その経験から自信を持って言えるのは、「いきなり翻訳者にならずに、チェッカーから始めて良かった!」ということです。

むしろ、翻訳者になる前にチェッカーとしての経験をまず積むべきだとさえ思います。

以下では、その理由をご説明しましょう。分野は特許の日英翻訳についてですが、実務翻訳であればそれほど話は変わらないと思います。

翻訳チェッカーから始めて良かった理由

1. 大量かつ「有効な」インプットができた

当たり前の話ですが、英文の翻訳よりも、チェックの方が一日当たりの処理量が多くなります。

具体的には、翻訳は1日2500ワード程度に対して、チェックであれば10000ワードの処理量です。

ということは、必然的にチェッカーは翻訳者よりも日々、大量かつ多岐にわたる分野の英文に触れることになります。

しかも、ここで重要なのは、チェッカーが読むのは単なる大量の英文ではないということです。

評価の高い翻訳者と、評価の低い翻訳者の英文をどちらもたくさん読める、という点が重要です。

翻訳者だって、個人的な勉強で大量の英文を読むことくらいはできますが、果たしてその英文が評価の高い翻訳者によって作成されたものなのか、そうでないのかは分かりません。

評価の高い翻訳者の英文表現は積極的に吸収し、評価の低い翻訳者は反面教師にする。

そのような「有効な」インプットをこなしたことで、翻訳の実力が飛躍的にアップしたと思います。

2. 翻訳表現の視野が広がった

翻訳チェッカーの仕事を始めた頃、

えっ、ここまで意訳しちゃうんだ!これはさすがにやりすぎじゃない?

とビックリさせられた外注翻訳者の方がいました。

しかし、その外注翻訳者の方は顧客の特許事務所からの評判もよく、個別指名もよく受けていました。

翻訳の仕事を始める前は、「実務翻訳は多少の個人差はあれ、誰が翻訳しても大体同じ訳になる」と思っていたのですが、それは勘違いであることを思い知らされたのです。

専業の翻訳者になると、基本的には淡々と自分の翻訳文を提出するだけで、他人の翻訳文を読む機会はほぼありません。

私は、翻訳者になる前にチェッカーという段階を経ることで、翻訳表現の幅の広さを知り、自分の視野を広げることができました。

3. 市場で闘える翻訳者のレベルが分かった

これはややブラックな話なのですが、翻訳チェッカーの仕事をしていると、

「○○さんのチェックはどう?お、やっぱりほとんどチェックは入らないんだな。よし、重要案件は○○さんに回そう」

とか、

「××さんは、いつもチェックがたくさん入って大変だよね?単価2円ダウンの打診をして、断るようだったら切ろう」

というような、社内のぶっちゃけトークを聞くことができます(笑)

1の「大量のインプットができる」と似たような話ですが、評価の高い翻訳者と評価の低い翻訳者のチェックを両方こなしていると、「どのような水準の翻訳文が合格点を取れるのか?」という点を明確に知ることができます。

専業の翻訳者をしていると、基本的には自分と翻訳会社との1対1の関係しかなく、ライバルとなる他の翻訳者のレベルがつかめません。

そして、翻訳者が切られるときにはある日突然切られます

そのような意味で、一度社内の翻訳チェッカーを経験し、切られない翻訳者のレベルを把握することには意味があると思います。

4. 翻訳の業務にスムーズに入ることができた

一般的に、特許翻訳では、翻訳者に求められる一日の処理量は最低2000ワードと言われます。

私は、チェッカーの業務を半年間経験して、初めて翻訳をしたのですが、なんと初めての翻訳で2000ワード以上の量をこなすことができたのです(そして、チェックもほとんど入りませんでした)。

これは私の優秀さをアピールしているわけではありません。(笑)

そうではなく、チェッカーとしてのインプット期間、下積み期間があったからこその成果だと考えています。

英作文は英借文」とよく言われますが、私は半年間ひたすら英訳文のチェックばかりして、評価の高い翻訳者の英文を脳にインプットしていたからこそ、アウトプットもスムーズにできたのだと解釈しています。

逆に、もし翻訳会社への入社間もない時期に、

はい、じゃあ早速これ訳してみて

なんて言われてしまったら、

ちょwwwいきなり無理ですわw

とならざるを得ません(笑)

チェッカーは翻訳者への回り道ではなく、むしろ王道ルートであるとすら思います。

翻訳チェッカーの唯一かつ最大のデメリット

もちろん、翻訳チェッカーにはデメリットもあります。

唯一かつ最大のデメリットは収入が低いということでしょう。

ぶっちゃけると、私が転職した一年目の年収は400万程度でした(9時~19時まで仕事をして、残業代込みで)。

出来高制の日英特許翻訳者として通常稼働すると、9時~17時で翻訳しても600万は稼げます。

年収に関しては妥協が必要ですので、1年程度勤務した後に、翻訳者への転換を上司に打診するか、今度は翻訳者として転職するか(チェッカー経験があれば有利だと思います)、フリーランスになれば良いと思います。


以上、翻訳チェッカーから始めて良かったと思う理由について述べてきました!

翻訳者志望の方は、「できれば、最初から翻訳者になりたい」と思われるかもしれませんが、チェッカーを経由することにも多大なメリットがあります。

是非、ポジティブな目線でチェッカーになることを考えて下されば幸いです!

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2017.07.23

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