年収1000万も可能!?現役特許翻訳者が収入を赤裸々に語る

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フリーランス特許翻訳者のアツトです。

私は数年前、新卒で入社したIT企業を退職し、技術翻訳の一種である特許翻訳業界に転職してきました(特許翻訳会社での正社員を経て、現在はフリーランス)。

未経験の業界ですから、当然年収情報も気になり、ネットで調べます。

すると、出るわ、出るわ・・・

「年収1000万も目指せます」との内容。。。

アツト
年収1000万!?イエーーーーイ!すぐさま転職だ!!ゴーゴーーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

とは残念ながらなりませんでした。

それはなぜか?

既にご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、特許翻訳者、特に出来高制で仕事をしているフリーランス特許翻訳者の収入は、ワード単価×翻訳ワード数で計算されます。

例えば、「私は少年です。」という文を英訳する場合を考えましょう。

シンプルに「I am a boy.」と訳します。(念のため言っておきますが、もちろん特許翻訳でこんな文はあり得ません!笑)

この場合、Iと、amと、aと、boyの4語となるので、ワード単価を10円とすれば、収入は10円×4語の40円となります。

つまり、ワード単価×翻訳ワード数のうち、翻訳ワード数を増やせば増やすほど(翻訳に時間をかければかけるほど)、特許翻訳者の収入は上昇します。

と、いうことはです。

「年収1000万を目指せる」ということの意味が「(土日全てつぶして、翻訳に時間を使えば)年収1000万目指せる」という意味である可能性もあるわけです。

特許翻訳業界人
特許翻訳者になれば、年収1000万目指せますよぉぉ!!
(しかし、土日はなし、睡眠時間4時間だけどな、グヒヒ)

いくら年収1000万稼げるとは言っても、こんな状況でしたら目も当てられません。。。

そもそも、「年収1000万稼げるか?」と聞く人の心理としては、「社会人として常識的な時間働いて、1000万稼げるか?」という意味であるはずです。

しかし、ネット上の情報をいくら探しても、このような問いにしっかりと答えてくれたブログや情報サイトはありませんでした。

結果、年収情報に関してはモヤモヤとした不安を抱えながら、私はこの業界に転職することに。

ですから、この記事では、当時年収情報を明確に知りたかった自分のような方に向けて、特許翻訳者の年収を、それに必要な労働時間も明確化しつつ、ご説明したいと思います。

また、出来高制のフリーランスではなく、正社員としての特許翻訳者の年収が気になる方もいらっしゃると思うので、あくまでの私の経験と伝聞の範囲でそれをお伝えできればと思います。

なお、本記事では日英翻訳についての話であって、英日翻訳の場合はまた別の話であることをご承知おきください。

1. ワード単価について

まず、翻訳者のトータル収入を決定する「ワード単価×翻訳ワード数」のうち、「ワード単価」について。

こちらは労働時間に比例せず、固定部分です。

いきなり結論を言うと、この記事を作成している2017年時点から新規に特許翻訳者になろうと考えられている方は、8円~12円の範囲で決定されると考えるのが妥当だと思います。

特許翻訳のワード単価は下落傾向にあるとは言え、経験年数が浅くても12円のスタート単価を出してくれる翻訳会社、特許事務所は複数あります。

8円未満の単価を提示してくる翻訳会社もありますが、それは個人的に搾取かなと思います。8円未満の単価を提示されたら、断って他の翻訳会社を探すべきです。

2. 翻訳ワード数について

翻訳ワード数は翻訳者によって差が出る部分です。

私が在籍していた特許翻訳会社の在籍翻訳者数十人のスピードを見ると、大体7時間(9時~17時で1時間の昼休憩を想定)で2000~3000ワード程度翻訳している場合が多いです。(この場合のワード数は、翻訳そのものではなく、内容の検討やコメントの作成も含んだものです)

2000~3000ワードというのは、かなり範囲が広いのですが、翻訳者のスピードによって本当に差が出る部分です。

また同じ翻訳者でも、翻訳する分野の習熟度によってワード数は異なります。

収入に直結する!翻訳のスピードが早い人の特徴

2017.09.15

3. フリーランス特許翻訳者のリアルな年収

では、本題となる年収についてです。

「ワード単価×翻訳ワード数」の式において、「ワード単価」が8~12円、「翻訳ワード数」が7時間で2000~3000ワードですから、1日に7時間仕事をした場合の収入は16000円(ワード単価8円、2000ワード翻訳)~36000円(ワード単価12円、3000ワード翻訳)となります。

土日は休んで、1ヵ月に20日稼働すると仮定すると、月収は32万~72万のレンジ。年収に換算すると384万~844万です。

ちょっと範囲が広すぎですね!笑

私の感覚ベースの話で恐縮ですが、一番あり得るのは、1日7時間の稼働を前提として、ワード単価10円、2500ワード翻訳し、月収50万(年収600万)ぐらいかなぁという感じです。

4. 年収1000万は可能か?

上で述べた通り、1日7時間で20日稼働することを前提にすると、単価が12円、翻訳ワード数が3000ワードでも年収は844万となり、1000万円には届きません。

しかし、現実には私の周りでも年収1000万円以上稼いでいる日英特許翻訳者は複数名います。

以下では、年収1000万円稼ぐパターンについて具体的にご説明します。

4. 1 パターン1:先駆者利益を得ている

今から10年以上前のリーマンショック前、特許翻訳者のワード単価が15円~20円の時期があったようです。

その時代から特許翻訳の仕事をしている方のワード単価も下落傾向にあるとは言え、リーマンショック以後に特許翻訳業界に参入した翻訳者よりは高単価が維持されています。

そういう方の場合、ワード単価15円で1日3000ワード翻訳すれば、20日稼働で月収90万、年収1080万になります。

実際、私の知り合いでこういう方はいます。ワード単価15円うらやましい!!笑

では、これから特許翻訳業界に参入する方はもはや高単価を諦めるべきなのか?

私はそうは思いません。

特許翻訳会社ではなく、特許事務所から直接案件を受注するなど、営業力を身につければ、可能性はあると思います。

4. 2 パターン2:稼働時間を増やしている

上では、年収384万~844万と述べましたが、これは「1日7時間仕事をし、20日間稼働する」という前提に基づくものです。

でも、社会人であれば残業するのも当たり前ですよね?

ブラックな働き方には賛同できませんが、社会人であれば、土日は休み、平日は9時~19時(昼休憩1時間)の9時間仕事をするというのはごくありふれた話だと思います。

9時間翻訳をすれば、疲労を考慮しても、まあ3500ワードは翻訳できるでしょう。

その場合、単価12円であれば、日給42000円、月収は84万となり、年収1008万円です。

・・・年収1000万に届いた!笑

これから特許翻訳業界に参入して年収1000万を稼ごうと考えている方は、このようなパターンを目指すのが一番現実的かと思います。

5. 特許翻訳の正社員の年収は?

私が勤務していた特許翻訳会社では、一年目の年収が残業代込み(平均1、5時間残業)で400万、三年目で550万円でした(能力に応じて、柔軟に年収を変動させる会社であったため、3年目でもほぼ400万だった社員もいましたが・・・)。

入社10年前後で、役職付きの先輩で700万(飲み会で聞き出しました笑)であり、また特許事務所から転職してきた30代の翻訳者は、特許事務所勤務時代、500万円台だったと聞いています。

ですから、2017年時点では、正社員の特許翻訳者の年収は、大体400~700万円程度と言えるのではないでしょうか?

もちろん、会社選びは非常に重要です

近年、翻訳者に正当な報酬を与える翻訳会社と、搾取することしか考えない翻訳会社との差は著しく開いているため、正社員としての転職を考えている方は慎重に・・・

翻訳者に転職して分かったメリット/デメリットと転職活動の注意点

2017.07.23

6. 特許翻訳は本当にもう稼げなくなっているのか?

とある弁理士の方のブログで、「特許翻訳はもう稼げなくなってきている」とのタイトルのブログ記事が話題のようです。

この記事には具体的な金額の記載が全くないので、肯定も否定もできませんが、特許翻訳者の平均年収が全体的に下がってきていることは否定できない事実です。

「特許翻訳者であれば誰でも1000万円稼げる時代」から、営業や稼働時間を増やすなどの「努力をしないと1000万円稼げない時代」になっていると言えるでしょう。

これを「特許翻訳はもうオシマイ」と解釈する方がいますが、私はそうは思いません。

そもそも、弁理士ですら年収1000万円以上を稼いでいる方は少数派です。

にも関わらず、弁理士が作成した書類の翻訳をしている特許翻訳者が全員1000万円以上稼いでいたら、それは理不尽な話でしょう(私が弁理士だったらブチ切れます笑)。

「特許翻訳はもう稼げなくなってきている」ではなく、「特許翻訳の収入は適正に落ち着いてきている」というのが適切だと私は思います。


以上、特許翻訳者のリアルな年収について語ってきました。

私が特許翻訳業界に転職する前、稼働時間について全く触れることなく、特許翻訳の年収は○○円だとする情報ばかりで、本当にヤキモキしていました。

私の記事が、同じように特許翻訳業界に参入しようとしている方の参考になれば幸いです。

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