特許翻訳の技術分野は何がおすすめか?

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フリーランス特許翻訳者のアツトです。

「特許翻訳に興味がある。でも、とりわけ詳しい技術分野があるわけでも無いし、何を専門として選べば良いの?」という疑問は、特に文系出身の方に多いと思われます。

「一番興味がある分野を選べば良いよ!」というのは正論ですが、正論ばかり聞きたくないというのも人情(笑)

そこで、私が客観的な根拠を示しつつ、日英翻訳のおすすめ分野を示したいと思います。

結論から言うと、情報通信分野を専門にして、電気一般も対応可能とするというのがアツトのおすすめです。

以下では、その根拠を述べたいと思います。

情報通信分野をおすすめする根拠

1. 日本国内の出願件数が最多

やや古い統計で恐縮ですが、特許庁が定める重点8分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料/エネルギー、ものづくり技術(製造技術)、社会基盤、フロンティア)のうち、2001年から2009年まで情報通信分野の特許出願件数がダントツで一位となっています。

出典:https://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/1402-027.htm

日本国内の出願件数が最多、それはつまり日英翻訳の需要も大きいことを意味します。

また、特許庁が年次で報告している特許行政年次報告書2017年版「統計・資料編」にも、以下の記載があります。

日米欧中韓へ出願された出願人国籍別出願件数、出願人国籍別登録件数を、1-5-1 図、1-5-2 図に示す。分野別では、「コンピューターテクノロジー」における出願件数、登録件数が他分野と比較して、圧倒的に多い。

(出典:https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2017/honpen/0105.pdf

この統計では、日米欧中韓の区別がされていないので、日本国内の件数は分かりませんが、一つの指標にはなるでしょう。

しかも、この統計、なんと「コンピューターテクノロジー」以外に、「電気通信」、「デジタル通信」、「計測」、「制御」の項目が別途設けられており、これらの項目の件数も相当数になります。

特許翻訳の需要を件数という観点から見ると、情報通信分野が最も大きいと言っても誤りではないと思います。

2. 21世紀はAI(=情報通信分野)の時代

これは現場レベルで翻訳をしていると、顕著に感じるのですが、ここ数年、AI関連の発明に関する翻訳が多くなってきています。

しかも、AIというのはまだまだ発展途上の技術であるため、AI関連の発明は今後さらに増えていくでしょう。

同じような話は、VR(バーチャルリアリティー)技術やドローン技術についても言えます。

最近、新宿にVR ZONE SHINJUKUがオープンしましたが、VRの普及はAIと同じくまだその序章に過ぎません。

1.1で、情報通信分野の発明が国内の出願件最多と述べましたが、それは頭打ちなのではなく、今後ますます増えていくのです。

3. 内容が親しみやすい

情報通信分野の特許明細書は、電機や機械、化学と比べると、専門知識がなくてもその内容に親しみやすいと思います。

文系出身の方が特許翻訳に参入して挫折する一つの原因に、技術内容が意味不明で翻訳が楽しくない、苦痛だということがあります。

しかし、情報通信分野ですと、例えばAIであれば自動車の自動運転技術に関するものであったり、VRであればヘッドマウントディスプレイの映像表示に関するものがあります。

もちろん、全てが全て身近なものではないですが、情報通信分野の発明は、「いかにも新時代の発明だ!」という感覚を最も味わいやすい分野だと思います。

4. 翻訳のスピードが出る

これは、私が特許翻訳会社に勤務していた時の感覚レベルの話で恐縮なのですが、情報通信分野の翻訳は他分野の翻訳に比べて多く翻訳できる傾向があると思います。

翻訳者の収入は翻訳ワード数で決まるため、それは翻訳者の収入増加を意味します。

一体、それはなぜか?

例えば、機械分野の翻訳ですと、明細書の図面が複雑で、明細書の内容との照合に時間がかかりやすい。

しかし、情報通信分野の明細書の図面は、フローチャートやテーブルなどシンプルなことが多く、図面の確認に時間がかからないことが一つの理由としてあると思います。

5. 勉強しやすい

「専門とする技術分野を決めた!でも、どうやって勉強しよう??」

文系出身の方でしたら、そんな疑問を持たれるかもしれません。

機械分野などはどう勉強すれば良いか、私も全く分からないのですが、こと情報通信分野に関して言えば、「ITパスポート」や「基本情報技術者」、「応用情報技術者」という手頃な資格があるため、そのような資格の取得を目指して勉強するのもありだと思います。実際、これらの資格レベルの知識があったおかげで、明細書の原文不備を上手く翻訳でカバーすることができ、顧客の特許事務所から褒められたこともあります

また、「基本情報技術者」や「応用情報技術者」といった資格は弁理士の方々の間でも知名度が高いため(応用情報があれば、弁理士試験の科目免除が適用されるため)、将来特許事務所に営業をかける際にも有効です。

例えば、あなたが弁理士として特許翻訳者を採用するときに、「私は語学だけではなく、技術の勉強も頑張ってます!」と言うだけの翻訳者Aと、「私は語学だけではなく、技術の勉強も頑張ってます!実際、応用情報持ってます!」と言う翻訳者Bとでは、どちらをより採用したいと思うでしょうか?

まあ、「自分は資格なんかじゃ人の能力を判断しない」という方もいらっしゃるでしょうが、とりわけ特許業界というのは勉強好き、資格好きな方々が多い業界です(実際、特許事務所のホームページを見ると、学歴や資格が事細かくアピールされていることに気づくでしょう)。

やはり翻訳者Bの方が好印象を持たれると思います。

加えて、機械分野や電機分野よりも、情報通信分野の方が英語の解説サイトが多く、それを読んでいるだけでも英語の勉強に使えます。

例えば、以下のサイトは情報通信というより、若干Web系の内容なのですが、このようなサイトを閲覧するだけでも、自然に情報通信分野の英語を勉強することができます!

Webの基本を英語で学べる超優良サイト「W3Schools.com」はもっと知られるべき

2017.10.03

以上、情報通信分野を専門としておすすめする理由について述べてきました。

「電気一般も対応可能とする」と書いた理由についてはまだ触れていませんでしたが、「情報通信分野しかできません」という翻訳者よりも、電気一般も対応な翻訳者の方が使い勝手が良く、重宝されやすいからです。

あくまでも大前提として、自分が興味を持てる技術分野を選ぶというのが正解だと思いますが、当記事がそのような分野がない方の参考になれば幸いです!

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