翻訳家の視点で語る!大人の英語教科書「DARK HORIZON」の魅力

あなたの英語って、ニュースみたい

と言われたら、それは褒められているのか、けなされているのかどちらでしょうか?(笑)

ニュースのような正しい綺麗な英語だと褒められているとも言えるし、逆に、堅苦しくて親しみがない英語だとけなされているとも言えますね。

2年ほど前、オーストラリア人女子大生の娘にそう言われた私は、後者だと解釈したのです。

しかし、彼女の話が心にズキッ!ときたのも事実。

当時、私の英語学習と言えば、英字新聞を読むか、洋書を読むか、英語ニュースを聞くか、翻訳関係の本を読むばかり。

だから、「ちょっと小難しい英語ばかり勉強しすぎかな?もっと、カジュアルな英語も知るべきかな??」という気がしていたのです・・・

アツト
自分の英語をもっとカジュアルにしないとダメだ!このままだと、つまらない人間街道まっしぐらになってしまう!!

そこで、昔購入したのがこれらの本、「DARK HORIZON」

英語の教科書でNEW HORIZONというシリーズがあるが、それをより大人でダークな内容にしたものです。

アマゾンの内容紹介はこんな感じ↓

「もう1度、英語をやり直す」大人に中学の教科書を見比べおさらいしよう。学生から大人のやり直し学習まで、すべての人に最適の一冊!?みんなが使っていた教科書に登場したグリーン先生の10年後は…!?「お金をくれません?」“Spare some change?”「どっか行けよ、ジジイ!」“FUCK OFF OLD MAN!”使う場面が絵でわかる絶対使わない英語フレーズ。 リスニングCD付き。

~amazon内容紹介ページより引用~

・・・

・・・

・・・

ん??

「お金をくれません?」

「どっか行けよ、ジジイ!

・・・

・・・

・・・

これはカジュアルを通り越して、ただの社会不適合者だろ

てか、「使う場面が絵でわかる絶対使わない英語フレーズ」って、この教材の意味ってなんだよ?教材って、普通使えるものだろ?

と色々ツッコミどころはあったものの、自分にはこれぐらいの劇薬が必要かなとも思い、二冊同時購入しちゃったのです\(^o^)/

で、最初はバカにしながら気軽に読んでいたのですが、意外とこの本は奥が深いということに段々と気づいてきたので、その点について書いてみたいなと思います。

まずはこの文を見てください↓

彼女のガタガタな歯並び具合が好き!

I like how her teeth point all different directions!

~第1巻P92「アイドルオタク、コージのど定番フレーズ10」より引用~

この文の奥が深いポイント、お気づきでしょうか?

そう、「ガタガタな」という日本語に対して、「all different directions」と訳しているのが絶妙に上手いのです!(笑)

「歯がガタガタ」の「ガタガタ」を訳せと言われたら、自分だったら相当悩むと思います(まあ、私の仕事である特許翻訳ではあり得ませんが笑)。

この文は、一見単なる褒め言葉に見えて、実は高度な翻訳術が隠れているのです。

「歯がガタガタ」=「歯が全て違う方向を向いている」=「all different directions」

上手い!!上手すぎる!!!

ちなみに、最近話題のグーグル翻訳を使うとこんな感じになります↓

I like her rattling detition

これは・・・大誤訳ですね(笑)

rattlingというのは、動詞rattleの進行形ですが、rattleは「音がガタガタ、ガラガラ鳴る」という意味なので、さすがに歯が自由自在に動いてガタガタ音を立てたら怖すぎです。

ちなみに、rattleでグーグル画像検索をするとこんな画面がでてきます↓

グーグル翻訳を上回るほどの高度な翻訳術、それがダークホライズンの真価だったのです。

もう一文見てみましょう↓

私の一番の彼氏はバイブよ。

My favorite boyfriend is rechargeable.

~第1巻P54「クラブのママ、アンが言う黄金フレーズ10」より引用~

これも自分だったら、できない翻訳!

私のような若造の凡庸翻訳者だったら、素直に「My favorite boyfriend is a vibr〇tor.」(←自主規制w)としてしまうところです。

しかし、「バ〇ブ」=「機械」=「充電可能」=「rechargeable」という発想が光ります。

ちなみに、私の名誉のために(?)言っておきますが、バ〇ブは英語でもそのままvibr〇torというらしいので、私の翻訳でも間違ってはいないと思います(笑)

最後に、ここで真面目な文を一つ↓

あなたの国では季節はいくつあるの?

How many seasons do you have in your country?

~第1巻P118「ヤンキーの慎が外国人を挑発したフレーズ10」より引用~

「挑発したフレーズ」とあるように、やはりこの手の質問は失礼に当たるんですね~。

昔、小学校か中学校の授業で「季節が4つあるのは日本だけ」みたいなことを教えられた記憶がありますが、やはりそれは日本人の錯覚だと。

てか、この質問、自分も過去に一度くらいしたことがあるかも・・・

このような質問は特に英語初心者の方に多いと思うので、注意ですね。


ぶっ飛んだ本に見えて、意外と奥が深いDARK HORIZONの紹介でした!

基本的には全く使う場面がないフレーズ満載の本ですが、普段、固い本ばかり読んでいる方は、このような本を読んでみてもいかがでしょうか?

では、また!

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