【翻訳者に転職!】実感したメリット/デメリットと注意点

フリーランス翻訳者のアツトです。

私は大学卒業後、新卒採用でIT企業にシステムエンジニアとして雇用され、数年間、エンジニアとして仕事をしていました。

その後、特許翻訳会社に正社員の社内翻訳者・チェッカー(日英)として転職し、現在はフリーランスとして仕事をしています。

この選択を一言で振り返ると、「正解だった」と断言できるのですが、それでも全てが良いことであるわけもなく、システムエンジニアの時の方が良かったと思うこともあります。

そこで、現在別の仕事をしているけれど、翻訳者への未経験転職を考えている方に対して、翻訳者に転職して分かったメリット/メリットと、転職活動をするに当たっての注意点について語りたいと思います。

システムエンジニアからの転職という内容ですが、システムエンジニアの仕事は一般企業の総合職に当てはまることも多いと思うので、エンジニア以外の方にも参考になるかとは思います。

1. 翻訳者に転職したメリット

1.1 フリーランスになれば収入は出来高で決まる

「いきなり金の話かよ!」と言われるかもしれませんが、金銭面の条件はモチベーションの維持・向上に重要な要素です(笑)

社内のシステムエンジニアの場合、一般企業の総合職と同じく年功序列制の固定給である場合が多いです。

しかし、フリーランス翻訳者の収入は翻訳した量で決まる、つまり出来高制であるため、自分の収入に深い納得感があります。

どんな会社にも、仕事ができないのに年功序列制のおかげで高収入な高齢社員がいるものですが、翻訳業界ではそういう不公平がありません。

若くても翻訳能力が高ければ高収入(1000万程度)は狙えますし、逆にいくら経験年数が長くても翻訳能力が低ければあまり稼げません。

翻訳業界は、収入という点に関して言えば、極めてフェアな業界であると感じています。

また、正社員の社内翻訳者の年収も400万~700万くらいのレンジにあり(アツトの年収は、翻訳会社正社員1年目で400万円でした。その後、3年目で550万になりました。20代半ばの時の話です。)、めちゃくちゃ高収入というわけではないですが、全年齢の正社員男性の平均年収が527万(参考:正社員男性の平均給与「527万円」 引き上げているのは誰なのか?)であることを考えると、悪くはないと言えるでしょう。

また、翻訳会社の中には、社内出来高制というシステムを採用している会社も多く、正社員として安定した身分を持ちながら、お金は頑張れば頑張るだけ稼ぐことができます。

1.2 自分のペースで仕事ができて、ストレスがない

システムエンジニア時代には自分のデスクで仕事をしていても、必ず問い合わせの電話やメール、割り込みの仕事、障害の連絡などが入ってきて、腰を落ち着けて仕事を進めるということができませんでした。

エンジニアに限らず、一般企業であれば、仕事中の割り込みや中断というのは当たり前にあるでしょう。

結果、思い通りに仕事ができず、ストレスを溜め込むことになったり・・・

しかし、翻訳の仕事は社員、フリーランスを問わず、与えられた期限を満たすように翻訳を完成させる、又はチェックを完了させることが求められるだけで、仕事中に横やりが入ることがほとんどありません。(自分が翻訳した過去の案件について質問を受けることなどはたまにあります)

色々な仕事を抱えると混乱してしまったり、「俺の仕事を邪魔するな!割り込んでくるな!」という職人気質な人にとっては、とてもありがたい環境です\(^_^)/笑

1.3 仕事内容がアカデミックであり、勉強好きや読書好きに向いている

システムエンジニアとして就職した当初は、エンジニアとしての仕事内容にアカデミックな側面を期待していました。なにせ、名前が「エンジニア」ですからね。

しかし、実際のシステムエンジニアの仕事は、技術的、アカデミックな性質が薄く、どちらかというと営業職のような立ち回りや社内政治が重要なものでした。

それに対して、現在の特許翻訳の仕事は、

・英語のライティング

・特許文書の技術的内容の理解

・特許に関する法律や判例の理解

というアカデミックな性質が強いものなので、元々勉強好きな僕にとっては、存分に自分の力を発揮できる仕事です。

学生時代、勉強や読書が好きだった。でも、会社の仕事は面倒な調整や対応が多くてつまらないなぁ」という人には、とてもありがたい環境です\(^_^)/

2. 翻訳者に転職したデメリット

2.1 チームで何かを達成するという充実感がない

通常、システムエンジニアに限らず、一般的な会社員であれば、プロジェクトや仕事においてチームを組み、コミュニケーションを取りながら仕事を進めるということが多いと思います。

それに対して、翻訳者は社内、フリーランスを問わず、個人プレーの性質がとても強いです。

中学高校の部活のように、複数人で協力して何かを達成することによる充実感は翻訳という仕事では得られません。

私はそもそもがコミュ障気質なので、あまり重大な点ではないのですが、一人で翻訳ばかりしてると、ふとそのような過去を懐かしく思うこともあります。

2.2 仕事がマンネリ化する

システムエンジニアは、職種が多種多様(プロジェクトマネージャー、ITコンサルタント、ITアーキテクト、設計担当、基盤担当など)であり、以前在籍していたIT企業では頻繁にジョブローテーションの機会がありました。

また、グローバルな案件もあるため、海外の拠点とメールや電話のやり取りをしたり、出張の機会もありました。

一方、翻訳者の仕事はひたすら翻訳をするか、他人の翻訳のチェックをするばかりです(逆にそれ以外の仕事を翻訳者がしたら変だとも言えますが笑)。

正直、飽きないわけがありません!(笑)

私が以前、在籍していた特許翻訳会社では、仕事が単調であるという理由で退職をする人もいたので、「ずっと翻訳ばかりして嫌にならないか?」という点は、転職前によく考えておいた方が良いでしょう。

3. 翻訳者に正社員として未経験で転職する際の注意点

3.1 やっぱり資格は評価される

翻訳の能力にTOEICや英検などの資格は関係ない

翻訳者の方のブログを読んでいると、そのような意見を頻繁に見かけると思います。

それが真実かどうかは別として、未経験者として翻訳会社に転職する際には、TOEIC高得点や英検一級などの資格は、間違いなく高評価につながります

翻訳会社としては、未経験者を採用する際の判断材料に乏しいわけですから、そのような資格情報を参考にするのは当たり前でしょう。

余裕がある方は、TOEICや英検などの資格を取得されておくことを強くお薦めします(しかし、ここで重要なのは、「TOEICや英検を取ってから転職活動を始める」のではなく、「TOEICや英検の勉強と並行して転職活動を始める」ということです。人生の貴重な時間を浪費しないように気を付けましょう)。

3.2 口コミサイトはチェックしておこう

「翻訳者に転職するにあたって、おすすめの転職サイトorエージェントは何かある?」

そんな疑問があるかもしれません。

ぶっちゃけ、転職サイトはなんでも良いと思います。

無難に、「翻訳 転職」とか、「特許翻訳 転職」とか、「医療翻訳 転職」とか、そういうキーワードで検索すれば良いです。

大体、どの転職サイトにも、同じ転職案件が重なっているので、転職サイト選び、エージェント選びに時間をかける意味はあまりないと思います。

私はマイナビ転職を使って転職しましたが、別にマイナビ転職をお薦めする気もありません(笑)

しかし、です。

企業の口コミ情報は必ずチェックしておきましょう!

私は、転職活動に当たって、キャリコネの口コミを参考にしていましたが、実際に翻訳会社に入社して8~9割口コミの内容は正しかったです(ハズれた1~2割というのは、10年近く前の古い口コミでした)。

翻訳会社というのは、中小企業が多く、ブラックな企業や低賃金の企業など、当たりハズレが大きいので、なるべく複数の口コミサイトの評判を多く収集すると良いと思います。

キャリコネは、無料登録で口コミが閲覧できるだけでなく、私が利用したマイナビ転職も含めて、DODAなど、複数の大手転職サイトの求人をまとめて検索することが可能なため、複数の転職サイトの求人を一つ一つ検索する手間が省けます。

色々な翻訳会社(特許翻訳の場合は特許事務所も)の口コミを見てると、意外な内部事情も分かったりして、普通に面白いです(笑)


以上、翻訳者に転職して分かったメリット/デメリットと、転職に当たっての注意点について述べました!

ネガティブなことも書きましたが、総じて翻訳者に転職して良かったと私は思っています。

現在翻訳者への転職を考えている方には、是非ポジティブな目線で翻訳者を見てもらいたいです(^^)

スポンサーリンク