名著「影響力の武器」を英語で読む ~説得力を高めたい全ての方に~

翻訳家ブロガーのアツトです。

日常生活や仕事において、他人を説得したい場面は多々ありますが、説得という行為に対して苦手意識を持っている方は多いのではないでしょうか?

私も、まさに苦手意識を持つ一人で、ITエンジニアから翻訳家に転職したのは、翻訳という仕事は他人を説得する場面が少ないからだと言っても、過言ではありません(笑)

ただ、どれだけ説得という行為に苦手意識を持っていても、完全に避けることはできないのも事実ですよね(゜_゜;)

そんな説得音痴な方におすすめしたい本が、「影響力の武器」です。



1. 「影響力の武器」とは

アメリカの著名な社会心理学者ロバート・B・チャルディーニによる著作で、原著の副題に「The Psychology of Persuasion」(=説得の心理学)とあるように、他人を説得する上で効果的なアプローチを心理学的に解説した書籍です。

理論面を解説した「影響力の武器」、その実践を扱った「影響力の武器 実践編」、さらに発展的な話題を扱った「影響力の武器 戦略編」の3部作があり、マーケティングやセールスに携わっている人なら、誰でも名前を知っている世界的なロングセラーです(なんと、「影響力の武器」の初版発行は1984年ですが、未だに売れ続けています)。

当然のごとく、影響力の武器はニューヨークタイムズ・ベストセラーに選出されており、27ヶ国語に翻訳されているそうです(参考:Robert Cialdini: influence and persuasion thinker – The British Library)。

当ブログでは、その3部作の中から、特に「影響力の武器 実践編」を洋書で読むことをおすすめしています。

<「影響力の武器 実践編」の英語版「Yes!: 50 Secrets From the Science of Persuasion」>

2. 「影響力の武器 実践編」を英語学習にすすめる理由

そもそも、「影響力の武器 実践編」の中身は、主に理論を解説した「影響力の武器」の内容を、具体的な50個のトピックに分けて解説したものになっています。

50個のトピックは、1つにつき10分~15分程度で読み終わる程度の長さで、各トピックは全て独立しているのです。

もちろん、内容上、3部作はどれもおすすめなのですが、洋書は和書に比べて読むのに時間がかかるため、途中で放り出す可能性が圧倒的に高くなるものだと思います(←実体験w)

10分程度で読み終わる1話完結型のトピックであれば、通勤・通学中や、ちょっとした細切れ時間に読むことができるので、学習を続けやすいというのが主な理由です。

戦略編も、実践編と同様に、独立したトピック形式の記載になっているのですが、戦略編は、実践編の内容をさらに発展させたものになっているので、やはりまずは実践編を読むのが基本でしょう。

なお、影響力の武器の原書を読みこなすために必要な英語力としては、TOEIC600点レベルは最低でも欲しいところです。(個人的な印象ですが、英文の難易度はTOEICで出題される長文問題よりも難しいと思います)

3. 「影響力の武器 実践編」から2つのトピックを紹介

「本の概要は分かったけど、具体的に、影響力の武器ってどんなことが書いてあるの?」

本の内容を知らない方だと、こんな風に疑問に思いますよね。

それでは、実践編で紹介されている50個のトピックの中から2個ピックアップして、内容をご紹介したいと思います!

3.1 たった3語を変更するだけでテレビショッピングの売上げを爆増させた手法

テレビショッピングのライターであるSzotさんが、コマーシャルにおける文言をたった3語変更しただけで、売り上げを爆増させた事例が紹介されています。

具体的には、以下のように、「Operators are waiting, please call now」を「If operators are busy, please call again」に変更したのです。

Szot changed the all-too-familiar call-to-action line ‘Operators are waiting, please call now‘ to ‘If operators are busy, please call again‘. (中略)  In brief, when people are uncertain about a course of action, they tend to look outside themselves and to other people around them to guide what they do.

~kindle版「Yes!: 50 Secrets From the Science of Persuasion」より引用~

3語というのは、「Ifをつけ加える」、「waitingをbusyに変える」、「nowをagainに変える」ということですね(笑)

なんと、「オペレーターが待ってます。電話をおかけ下さい!(’Operators are waiting, please call now’)」から、「オペレーターにつながらない場合、電話をおかけ直し下さい!(’If operators are busy, please call again’)」に変えるだけで、電話注文を大きく増加させることに成功したのです。

この事象は、”Social Proof”(社会的証明の原理)という社会心理学の理論から説明されています。

要するに、人は行動の判断に当たって、多数派の行動に影響を受けやすいということですね。

「オペレーターにつながらない場合、電話をおかけ直し下さい!」と変更することで、あたかも、オペレーターに電話をかける人が多数派であるかのように見せかけているのです。

「みんなも電話をかけてるなら、自分もかけなくちゃ!」

こういう気持ち、とってもよく分かります(゜Д゜)

3.2 選挙の投票率を25%増加させた手法

日本では、選挙の投票率の低さが問題視されていますが、アメリカにおいても、同様の問題は存在し、「いかにして選挙の投票率を上げるか?」という問題は万国共通です。

そんな中、社会学者のAnthony Greenwaldが試みた実験は、「一つの解答」を示しています。

The answer involves merely asking potential voters to predict whether they will vote on election day and to provide a reason for their prediction.(中略), those who were asked to make a prediction yielded a turnout rate that was 25 higher than those who weren’t asked.

~kindle版「Yes!: 50 Secrets From the Science of Persuasion」より引用~

要するに、「明日の選挙は投票に行きますか?その理由も教えて下さい」と、選挙の前日に電話取材をすることで、電話取材を受けた人は、受けなかった人に比べて25%も投票率が高かったということですね。

ここでは、2つの心理的なテクニックが働いていると解説されています。

まず1つ目は、上で紹介した「社会的証明の原理」で、選挙という多数派が参加をするイベントに関しては、「行く」と答える心理的圧力が働くということ。

そして2つ目は、一度、行くと答えたからには、実際に行かなければならないという心理的圧力が働く一貫性の原理)ということです。

一度、自分が発言してしまったことは、たとえ気分が乗らないことでも、実行しないと罪悪感を感じるというのは、皆さんも分かるのではないでしょうか?

投票に行くように指示をしたわけでもなく、ただ質問をするだけで投票率が上がるというのは、とても面白いですね。


以上、影響力の武器の紹介でした!

実践編では、上で紹介したように、50個のテクニック全てに関して、統計的に証明された事例とその背景にある理論が解説されているのです。

他にも面白いテクニックの紹介がたくさんあるので、是非読んでみてください\(^o^)/

【レベル別】洋書おすすめ本まとめ~kindleで英語学習しよう~

2017.09.22

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