映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」から英語の名言を学ぶ

翻訳家ブロガーのアツトです。

映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」は、メリル・ストリープが英国首相のマーガレット・サッチャーを演じ、第84回アカデミー賞において主演女優賞を獲得したことでも有名な伝記映画です。

本作では、主演メリル・ストリープの演技力はさることながら、マーガレット・サッチャーの遺した数々の名言も見どころの一つとなっています。そこで今回は、実際の映画のシーンを交えながら、本作に登場する名言をご紹介してみたいと思います。



1. 女性の人生

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No – one’s life must matter, Denis. Beyond the cooking and the cleaning and the children, one’s life must mean more than that – I cannot die washing up a tea cup.

(自分の人生をどう生きるかっていうのはね、デニス。料理とか掃除、子育てなんかより大切なことなの。私はお茶碗を洗うだけの人生なんて送りたくない。)

オックスフォード大学を卒業後、24歳で下院議員選挙に立候補したマーガレットは、「食料品店の未婚の娘」という身分的背景も災いし、あえなく落選。

落ち込む彼女に、後の夫であるデニスが「僕と結婚して“ビジネスマンの妻”にならないか?」とプロポーズします。

愛する男性からのプロポーズに心から喜ぶ彼女ですが、結婚して家庭に閉じ込められるのは嫌だという強い意思を伝えたうえで、「こんな私でも結婚してくれる?」と尋ねます。

当時では珍しかった女性政治家である彼女を、生涯にわたって支えた夫とのロマンチックなシーンです。

ワンポイント文法解説“die -ing(~して(しながら)死ぬ)”というフレーズを使って、「一生家事だけをして死んでいくのはごめんだ」というニュアンスをだしています。”cannot”と言うときに目を見開いて強めに発音しているのが印象的です。

2. 女性の首相なんて・・・

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Prime Minister?! Oh no. Oh no no no. In Britain? There will be no female Prime Minister here, not in my lifetime.

(首相ですって?やめてよ、馬鹿なことを。英国の首相?私が生きている間に女性の首相が誕生するとは思えない。)

34歳でとうとう下院議員に当選したものの、強く改革を推し進める人間のいない状況に嫌気がさしたマーガレットは、党首に立候補することを決意します。

そんな彼女に政治家仲間は「むしろトップ(首相)を目指すべきだ」と助言。

もともと党首に立候補すること自体も、党内に揺さぶりをかける目的でしかなかったマーガレットが、これに強く抵抗する様子を見せる一幕です。

ワンポイント文法解説“female”を発音するときに皮肉っぽくフィーメイル」と強めにアクセントを置いています。当時、政治家の男性たちの中でさぞ差別を受けていたのだろうと想像させるような表現ですね。

3. 調和、真実、信頼、そして希望を

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Where there is discord may we bring harmony…

Where there is error may we bring truth…

Where there is doubt may we bring faith…

Where there is despair may we bring hope.

(争いのある所に調和をもたらそう。過ちのある所に真実をもたらそう。疑いのある所に信仰をもたらそう。そして絶望のある所に希望をもたらそう。)

西欧初の女性首相として英国首相に当選したマーガレットが、就任後最初のインタビューで述べたのがこの言葉です。

カソリック修道士であるアッシジのフランチェスコの言葉を引用しています。

彼女の政治や国に対する思いが集約された言葉なのかもしれませんね。

ワンポイント文法解説「~かもしれない」の意味でおなじみの”may”ですが、ここでは祈願や願望をあらわす「願わくは~ならんことを」といったニュアンスで使われています。

4. 父の教え

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Watch your thoughts, for they become words.

Watch your words, for they become actions.

Watch your actions, for they become habits.

Watch your habits, for they become your character.

And watch your character, for it becomes your destiny.

What we think, we become.

My father always said that.

(考えは言葉となり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格は運命となる。“考え”が人間を創るのよ。私の父がいつも言っていたわ。)

本作品は、政界引退後に年老いて認知症を患ったマーガレットの生活と、彼女のこれまで辿ってきた政治家・妻としての半生を行き来しながらストーリーが展開します。

このフレーズは年老いたマーガレットが認知症の治療のため病院に行った時の医師との会話で出てきていました。

かつては「鉄の女」と呼ばれた彼女も、夫を失った後は夫の姿や声が頭から離れず幻覚や幻聴に悩まされますが、何とか昔の自分を取り戻そうと繰り返し自分にとっての教訓を口にします。

ワンポイント文法解説よくアニメの登場人物を「キャラクター」と呼びますが、英語で”character”とは「性格、人格」という意味をもちます。

5. 戦う女

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With all due respect sir, I have done battle every single day of my life, and many men have underestimated me before. This lot seem bound to do the same but they will rue the day.

(失礼ながら長官。これまでの私も戦いの日々でした。男に見くびられながらね。今度の相手も同じでしょうが、最後には泣きを見ます!)

1982年フォークランド領土が侵略された際、強硬姿勢を貫こうとするマーガレットを思いとどまらせるべく、米国首相がやってきます。

遠回しに「あなたは戦争というものがどんなものか分かっていない」と述べる首相にマーガレットが放ったのがこの一言です。

たとえ本国から離れた小さな陸地だとしても、守り抜くことで強い英国を見せるべきだというのがマーガレットの考えでした。

それは男性に見くびられないよう精一杯気を張って生きてきたマーガレットの人生観そのものだったのかもしれません。

ワンポイント文法解説“with respect(失礼ながら、お言葉を返して申し訳ありませんが)”に”all due(しかるべきすべての)”という言葉を付け加えることで、より強調することが出来ます。国のトップである首相同士の話ですので、敬意を最大限に重んじた表現をすべきなのでしょう。また、”every day”ではなく”every single day”に変えることで、「本当に毎日欠かさず」というニュアンスを出すことが出来ます。”every single~”の表現は日常英会話でもよく登場しますので覚えておきましょう。”rue the day”は「悔やむ、後悔する」という意味ですが、ここでは文脈上「泣きを見る」と意訳しています。

ビジネス英語も学べる!「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」の魅力

映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」から、英語の歴史的名言を実際のシーンとともにご紹介してまいりました。

作中で30代~80代のマーガレット・サッチャーを演じ分けたメリル・ストリープの演技には本当に感動させられますね。

アカデミー賞も納得の迫真の演技です。また、女性の生き方についても深く考えさせられる内容となっています。働く女性の苦悩と葛藤が丁寧に描かれているため、同じ悩みを抱える女性はもちろん、男性の目線から見ても参考になる部分があるかもしれません。

また、英語学習の観点から見ると、以下のような効果が期待できます。

・イギリス英語の発音が勉強できる

・オフィシャルな場での言葉の選び方が分かる

・英語でスピーチをするときのポイントが分かる

作中では、マーガレットが女性特有の甲高い話し方を直すために発声練習や話し方の練習をする場面も出てきます。

人を納得させるための話し方や、スピーチを英語で行う場合の上手なアクセントの置き方がよくわかり、ビジネス英語を習得したい方にも勉強になります。

みなさんも、時には伝記映画を見ながら自分の生き方を見つめなおすとともに、ストーリーを追いながら楽しく英語学習をしてみてはいかがでしょうか?

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